【嫌われ松子の一生】曲げて伸ばして~♪

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嫌われ松子をようやく鑑賞。好き嫌いの分かれる映画、と聞いて、実はビクビクもので観た。

一緒に観たH嬢とT嬢が、松子に感情移入しまくって盛り上がり、もしも自分だけハミ子になってしまったらどうしよう、などと恐れおののきながらの鑑賞となったのだった。



eiga.com 嫌われ松子の一生~ABOUT THE MOVIE]

引用↓

下妻物語」の中島哲也山田宗樹の同名小説を映画化。昭和22年、福岡県に生まれた松子は明るい少女時代を経て中学教師となるが、ある事件が元で失業。その後は男性遍歴を重ねるたびに不幸になり、ついにはソープ嬢となって殺人を起こし、刑務所に服役してしまう。柄本明木村カエラ柴咲コウ武田真治土屋アンナ宮藤官九郎劇団ひとりなどの人気者たちが大挙出演。


監督・脚本:中島哲也 原作:山田宗樹 撮影:阿藤正一 音楽:ガブリエル・ロベルト、渋谷毅

主題歌:BONNIE PINK 出演:中谷美紀瑛太伊勢谷友介香川照之市川実日子黒沢あすか

荒川良々竹山隆範 2006年日本映画/2時間10分 配給:東宝


で、結果的には、先の心配は杞憂に終わった。ムチャムチャ楽しめた。そして、カンドーもした!!!

だがしかし、正直に言おう。出だしは非常に不安そのものだった。『下妻物語』は、いきなり最初っからエンジンフルスロットル♪の面白さ。タランティーノ映画を髣髴させるものだったが、それに比べると実にありきたり~な話に思えてしまったのだ。片平なぎさのサスペンスドラマ・ネタはしつこいし(『下妻』で水野晴朗さんが3回出てくるようなもんやろう!!ってツッ込んだw)、カンニング・竹山は鬱陶しいし、修学旅行先の旅館の主人のホクロの毛に至っては、あまりのベタさに「ガ~~ン!これは合わへんかも!」とショックを受けていた。。。谷原章介のキャラだけが頼り!!の状態で、物語は進む。。


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以下、今回は思いっきりネタバレ仕様でいくので、まだ未見の人は、読みとばかしてくらはい。よんろしく。

最初に「キタァーーーッ!!!」となったのは、愛人役の劇団ひとりを、♪~ハピィ~ウェ~ンズデ~~~ィ~♪と、歌いながらストーカーするくだりからwミュージカル仕立ての、コミカルな趣向がやっと伝わった。「アァ、このノリで行くのね。うんうん、わかったヨ!」っていう感じ。あとはもう、ひたすら完璧な脚本の妙に身を委ねて、松子の人生に、実にス~~ンナリと自己投影していけた。最終的には、自分=松子と感じられるくらい。。。因みにわたくし、小さい頃の呼び名は“まっちゃん”でしたからぁ~っ!(爆)


●脚本の妙に唸らされたシーン

・・・松子と、親友めぐみ(黒沢あすか)がからむ2シーンでの、視点を変えたカット割り(龍と暮らすアパートで、そして病院で)。因みに冒頭の、ジムでお腹の贅肉を捻っていたのも、めぐみだそうなw

・・・生徒だった龍が川辺で喧嘩しながら、船上で歌う松子を眺めるシーンを、オッサンになった龍が警察とやりあうシーンで絡める見事さ。因みに、船上で松子が歌っていた曲が、龍が神父さんに教えを乞うている時にバックに流れるBGMではインストゥルメンタルになっていて、涙。(あ、下に分類せな!)

・・・筑後川と荒川が似ていると笙(瑛太)が気付くシーンの前に、実は幼い頃、松子おばさんと川べりで会っていたんだ、と親父に電話で聞かされる、あのタイミングの良さ!ネ申がかり的だよ~~~、中島監督ぅ~!!!


●目頭がジ~~ンと熱くなったシーン

・・・精神科に通うようになった晩年、幼いころ妹の病室の外でやっていた「♪~ま~げて~、のば~して~♪」の足踏み遊びをやってしまうシーン。因みにあの童謡は、昔「ロンパールーム」で歌われていたらしい。

・・・刑務所の中でのシーン。ホットケーキを見つめるワンシーンに、父とのあの唯一の楽しかった思い出が脳裏をよぎり、ジワ~~~。

・・・松子が帰って来たことを気配で感じ、階下へと降りてくる妹・久美(市川実日子)の健気なところ(都合2回ほどあったと思う。。。)

●思わず心の汗がふきこぼれたシーン

・・・弟・紀夫(香川照之)に車で駅まで送ってもらうシーン。妹の死を、そして最期の言葉を聞かされ、ショック万吉なところへ、紀夫の情け容赦ない言葉。「はよーおりんか!」「二度とくんな!」

・・・夢の超特急・新幹線で東京へ向かう途中、荒川を見つけ、目を輝かせる松子。その後の、川で佇む切ないシーンとも相まって、とても詩的で、美しく、心洗われるような名シーンだったように思う。

・・・父、恒造(柄本明)の日記の記述、「松子から連絡なし」を見つけるくだり。ベタだけど、一番心に染みたなぁ~。香川さんにしても、柄本さんにしても、やっぱり実力派の俳優さんを起用しただけの事はあるわなぁ~~と感心。

 ~覚えてないだけで、他にもイーーッパイ感動したと思う。思い出したらまた書こうっと。~


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では動画関係いろいろどんぞ↓


YOU TUBE 松子その1

YOU TUBE 松子その2

本編を観た後にこういうダイジェスト的な動画を観て、余韻を楽しむのはイイもんだねー。


↓この下の、「王様のブランチ」では、香川照之さん、“松子の兄”とテロップが出ててワロス。

王様のブランチ 美紀&瑛太 その1

子松子役の、奥ノ矢佳奈チャンかわゆすなぁ~~。素のほうが断然カワユス。て言うか、無理に実物よりも変な顔に撮ったんだろうねぇ~。それに応えた佳奈チャンは、やっぱり中谷美紀より演技は上ってことか?

王様のブランチ その2


↓桜っ子クラブの頃か??もしかして、後ろにウチウミくんも写ってる???

YOU TUBE キー・ウエスト・クラブ


ヒカルゲンジに熱狂するシーンで、松子が松本美香に見え、晩年のデブった体の時は、ナンシー関さんの姿を思い出して、別の意味でも余計に泣いちゃったじゃないかよぅ。

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思わず、サントラ買っちまった。実はまだ、もったいなくて、恐れ多くて、聴いておらん。ムフフ。

ゆっくり、じっくり、たっぷり、時間のあるときに、堪能するぞ~!!

嫌われ松子の曲たち

嫌われ松子の歌たち


↓中島監督のインタビューが聴けます。パーソナリティの、村上隆の合いの手というか、愛想笑いがウザいったらないのだが、話の内容は興味深いので、我慢して聞いて欲しスw



へえ~、中島監督は大友克洋の『AKIRA』がフェイバリット・ムービーなんやぁ~。意外。

エフエム芸術道場


間にいろいろ挿入してしまったが、まだまだ、書き足らない感がバリバリである。しかし、そろそろ、感想の方は締めくくろう。最期にもうひと内容。

結局松子は、天性の教師だったのだと思う。美しい歌声は伏線となっており、結果的に交わった多くの男性の心の奥に、彼女の歌声は残っている(ラストシーンのメドレーはそういう意味だと、自分なりに解した)と。人に何かをしてあげることで価値のあった、松子の一生を象徴するいいシーンだ。もう少し、同僚教師の佐伯(谷原章介)に、愛する人を守る勇気があったなら、松子の人生はあんなに狂わなかったかもしれない。そうだ!すべての元凶は佐伯にあり!wだ。結局、勇気も出せずに、ジャージの上着も出せずに、彼はフェイドアウトせざるを得なかった。空しい。白い歯が、やけに空しく光るだけだ。。。

そして、最後に、彼女の教師の本能が、深夜にタムロする中学生に、あんな言葉を吐かせてしまった。

再起を図ろうと、立ち上がりかけた、その矢先だったのに、、、一度ムクッと起き上がって、少し進んでから倒れるところも、松子らしくて涙が出た。

今度こそ、本当に人生が終わった、そう思った・・・

のモノローグとともに、もう一回、蘇って欲しかったな。唯一、嫌な感触を残したのは、殺されるシーンだな。全編、不幸を描いているのにかかわらず、ミュージカル仕立てで、ファンタジーなのに、あのワンシーンだけ、妙に空寒いリアル感に満ち溢れているのだ。多分、わざとだ。この監督、コワイ・・・。


最後に、チョットあとになって、この映画とテーマが似通った、とある大好きな漫画を思い出した。

「不幸続きだけど本人は幸せ」「極道な旦那に乱暴される(ちゃぶ台をひっくり返す、的なネ)毎日」

「厚い友情でつながった女友達がいる」「幸福の意味って何だろう?と考えさせてくれる」などなど、共通点が多い、その作品とは・・・


業田良家著 『自虐の詩』だ!

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1巻の途中で読むのをやめてしまうケースが多いと思われる、この名作!2巻の途中から、お父さんが犯罪者となってしまうのが切っ掛けで次々と不幸が襲い掛かり、親友の熊本さん(「松子」でいうところの、めぐみ的存在♪)が登場する辺りから、この作品は、大感動作へと変貌を遂げる。ラストは『嫌われ松子の人生』に匹敵するほどの大団円である(こちらはハッピーエンド)!!!ぜひ。松子ファンの方は、探して読んでもらいたい。オススメだ。