【BARカモは閉店ナリ第7回】その他アルコール関連
BARカモは閉店ナリ 第7回 ここはどこか
●一部抜粋
鴨「それ、もしかして精神病院ってこと」
母「決まってるじゃないの。そうよ。アルコール病棟よ」
鴨「ところで頭はずきずき痛いし、なにこの包帯は」
頭をさわると布でぐるぐる巻きにされている。
母「居間で焼酎飲んだでしょ。私とやり合っていたら、全く急だったわよ。『うわー』って大声出したと思ったら椅子の上からフローリングの床に“バン”て音立てて頭から落ちたのよ」
鴨「全然憶えてないや」
母「人が気絶する瞬間て初めて見たわ。大声出してふざけているのかと思って声かけたけれど何の反応もなし。そのうちまた頭から血がたらたら流れてきて、居間の三分の一があなたの流した血の赤で染まったわ。すぐに救急車呼んだら前と同じ隊員で、今度はどうしたんですか、なんて聞かれちゃって恥ずかしかったわよ」
鴨「それで」
母「それでいつもの病院行きよ。医者に頭縫ってもらっているときも、目はつむったまま。途中『痛てっ』なんて声出すものだから目が覚めたのかと思ったら、まだ眠っているみたいだったわ。何かうわごとをしゃべってたわ。奈良漬けがどうのとか、言葉になってないのもあった。医師が声をかけるとわからない返事はするの」
鴨「へえ、何も憶えてないや」
(中略)
第二診察室の扉が開いた。白髪交じりの白衣を着た太めの女性が姿を出した。
「どうぞ、こちらへ」 そう促されて二人で部屋に入る。 頭がますますぼうっとしてきた。
「アルコール依存で入院、ということですね」 返事をする力もなく代わりに母が「ハイ」と答えた。もう一人居合わせた、やはり白衣を着た初老の女性が、「三階なら空きが一つあります」と答えた。
「基本的には三ヶ月入院していただいて・・・」
言葉がスッと聞こえなくなった。座っている椅子から前のめりにコックリと眠りかけ、額を看護師の前にある机の角に“バン”とぶつけ、ハッと我に返る。
「これから医師が参りまして、お部屋のほうに・・・」 また前のめりにコックリとやって机にぶつける。
「だめだ、これは。後ろのベッドに横になってください」 体を横たえると、すぐ眠りに落ちた。
吾妻ひでおさんの場合
「タバコ買ってきまーーす!」
と家を出たまま、吾妻ひでおは帰って来なかった。失踪。自殺未遂。ホームレス生活。何度か警察に捕まり強制送還させられるも、再失踪。配管工になって肉体労働の日々。アル中になって精神科行き・・。波乱万丈、の一言では片付けられない、ハチャメチャな人生。悲惨な部分は割愛してあるようだが、その筆力は容易に隠れた苦悩を想像させる。。。
ひでおさんの場合、妄想に苦しめられるところがナマナマしく描写される。(漫画的には、ニュルンとしたお化けみたいのが取り付くイメージ!)他人が恐ろしくて見えてたまらなくなる、というくだりにはゾッとした。鬱状態の時はそんな感じだわナァ~~。(かつてチョット欝だった経験アリの小生w)
中島らもさんの場合
らもさんのエッセイ本、『アマニタ・パンセリナ』の最終章が、「アルコールについて」である。改めて読み直してみたよ。
睡眠薬、シャブ、アヘン、幻覚サボテン、咳止めシロップ「ブロン液」、毒キノコ、有機溶剤、ハシシュ、大麻にLSD、ときて、トリを堂々と飾るのが、アルコールさまダ!♪らもサンの場合は、鬱病と躁病を繰り返す日々だったようだ。(TV出演してた頃は妙にハイだったっけ。)階段から転げ落ちて頭を打った直前は、一度はやめていた酒量が増え、常に酩酊状態だったという。
その生き様は、紛れもなくロックだと思う。生き方そのものがロックだったよ、らもさん。右の写真のカッチョ良さはどうだい?内田裕也みたいだろ?いーや、シェゲナベイベーなんかよりもずーーっと、アンタの方が、胸に突き刺さる言の葉を、僕らに与えてくれた真のロッカーだったよ。(一度、ライブも見たけど、隙を見ては居眠りしてたっけネェw)天国じゃあ体調とか気にしなくていいんだし、心置きなくシャウトしておくれよっ!
酒酔い未経験者の場合
最後は、ネタ。酒酔い運転が未だ後を絶たない昨今。満を持して、アルコールで幻覚を見る疑似体験ができそうな、必殺のメガネを制作して街へ繰り出したレポーターがいた!!この方法で、日本国民は全員、カモちゃんや吾妻さんやらもさんの経験したバッドトリップを疑似体験してみると宜しい。そんな不安な状態で、車を運転しようなどとは、金輪際思わなくなるだろうからして・・。イヤ、お酒自体を止められたらホント、いーんだけどネェ~~~~~~。