【松ヶ根乱射事件】「ファーゴ」+北野武映画+「CURE」?

山下敦弘監督作品をまたまた観たゾイ♪なんとも恐ろしげなタイトルの付いた『松ヶ根乱射事件』であ~る!!


eiga.com 映画データベース 松ヶ根乱射事件

引用↓

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監督:山下敦弘 撮影:蔦井孝洋 音楽:パスカルズ 美術:愛甲悦子 2006年日本映画/1時間52分 配給:ビターズ・エンド

☆STORY:「リンダリンダリンダ」の山下敦弘監督によるブラックコメディ。1990年代初頭の小さな田舎町・松ヶ根。畜産業を営む鈴木家の双子の弟・光太郎は警察官として働いているが、この町では事件らしい事件が起こることはなかった。そんなある日、どうも訳アリなカップルが町にやって来たことから、平和な町に少しずつ不穏な空気が流れはじめる……。主人公・光太郎を「ゲルマニウムの夜」「ゆれる」の新井浩文が好演。

☆CAST:新井浩文山中崇木村祐一川越美和三浦友和キムラ緑子烏丸せつこ西尾まり安藤玉恵、康すおん、光石研、でんでん

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いきなり冒頭、「ウワァ~、エライとこ突いて来よんナァ~~~!」と思わせる斬新なプロローグから、もう

山下ワールドに引き擦り込まれた感が強い。とある冬の田舎町で起きる、とある事件が発端となって・・

という前半は、コーエン兄弟の名作『ファーゴ』を思い出させる。そして、住人たちのありきたりな

会話の中に、「そう言えば女の人が倒れてたんだってねぇ~」てな具合に、さりげなく挿入される形で、

淡々と進んでゆくストーリー展開。何事も起きないシーンを長回しで撮り、何かあった時は逆に省略系で

テンポ良くスッ飛ばす・・・どことなく、北野武映画を髣髴させるものもあったカナ?そして、この映画

は、観客の予想を、終始はずしまくることで成立しているかのように思えた。徐々に壊れてゆく

主人公・光太郎の未来に待っているのは、黒澤清監督の「キュア」の世界だとばっかり思い込んでいた

ノニ・・・その予想は思いっ切りひっくり返されるwww ラストで予想を覆されると言えば、松本人志

監督の『大日本人』も記憶に新しいが、アッチの方は、如何せん「最後の最後に投げ出した感」の強い

外し方だった。そのせいで、やや残念な印象が残ってしまったのに対して、この『松ヶ根~』は、爽や

かな外し方。。。一瞬の呆然のあと、「あ、そういうことね♪」と納得する。「やっられたなぁ~♪」

と頭をかいて余韻にすら浸れるのだ♬ そこら辺はやはり数多く作品を撮って来ている経験値の違いな

のかなぁ~?やっぱし。



去年の映画ランキング2位に推しておられる、映画評論家のミルクマン齋藤氏の感想コメント↓

『グダグダにも洗練と完成があるってのを、証明する作品。川越美和のアエぎ声は、映画史上の一大事件と言ってしまおう』


なるほど。川越美和効果もあっての2位なのネンw そうそう、この川越さんと、木村祐一さんのカップル

がすこぶる良かったノヨ~。キム兄はこれまでも、『ゆれる』の検事役やら、『花よりもなほ』のアホ

ぼん役やら、けっこう存在感のあるところを見せてくれてるが、どうしてもお笑いのキム兄ィが頑張って

るナァ~、という色眼鏡で観てしまっていた。今回の、不気味なよそ者カップルは激ハマリ!!で、見事に

役柄に同化していたように思う。キム兄ィ、いよいよ、本格的な性格俳優路線へまっしぐらッテカ~~??


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シネマファクトリー 山下敦弘監督インタビュー

監督インタビューで、特に気に入った、配役に関する記述を抜粋したい。

Q.脚本には3人の方が名前を連ねていますが、どのようにお仕事をされたのですか?

A.もともとは山上徹二郎プロデューサーが考えていた企画で、芥川龍之介の小説「偸盗(ちゅうとう)」をベースに佐藤久美子さんが現代に置き換えて脚本を書かれていたんですけど、その時点で既に原作から少し離れていたので、結局はオリジナルでやりましょうということになったんですね。ある田舎に住む、一人は警官でもう一人はダメな兄貴という双子が、東京から来た女と三角関係になる話で、ダメな親父や春子もいましたし、キャラクターのベースはありましたが、その脚本を向井康介と僕がお預かりして膨らませていき、それをまた脚本の3人で話し合って形にしていくというやり方でした。

Q.お父さんの方は逆に、一見すごいダメ人間ですけど、実は一番本音で生きている感じがありますよね。

A.そうなんですよ。生まれてから死ぬまであの町で暮らすであろう男として、すでに諦めの境地を超越して、達観してますね。

Q.三浦友和さんというとやはり、好青年的イメージがありますが、ああいうダメ親父のキャスティングは絶妙だったと思います。

A.でも、僕自身は若い頃の三浦さんを知らないんですよ。相米慎二監督の『台風クラブ』(85)に出演していた三浦さんの印象が強かったので、僕としては意外な役ではなかったんですね。

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※ホエ~ッ、1976年生まれで32歳の山下監督、『赤いシリーズ』とかの三浦友和を知らないんだなぁ~。

なんかすげぇ、ジェネレーションギャップを感じるw 三浦さんと言えばアナタ、『さよならジュピター』という、日本の特撮が世界のレベルからさよならした記念すべき作品にだなぁ~・・おっと、その事はもう忘れてあげましょw ブルーリボン賞の最優秀助演男優賞にも輝いたことですし( ✪ฺܫ✪ )

日刊スポーツ 三浦友和6作で個性発揮/ブルーリボン賞