「黒井戸殺し」三谷幸喜の鮮やかなリメイク術!!

三谷幸喜が、古典中の古典「アクロイド殺人事件」を日本版にリメイク

したTVドラマ「黒井戸殺し」を動画で拝見。めちゃくちゃ面白いっ!!

前回の「オリエント急行殺人事件」も、絶妙の超訳具合で唸らせてくれた

が・・・。三谷さんはこの手の名作(ちょっと現代では古臭く感じるかも

しれないぐらいの旧作)をブラッシュアップして、和風に焼き直す天才で

はなかろうか。思えば「古畑任三郎」にしても、コロンボやパオロあたり

の名作のエッセンスを上手にアレンジした賜物かもしれない。もう『ギャ

ラクシー街道』みたいな奇抜なオリジナリティー追求はやめて、この路線

を進んでほしい。この手法ならば三谷幸喜は、あと10年は戦えるっ!!


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●「黒井戸殺し」 第一弾予告(60秒バージョン)


※超有名な作品だが、真相を知らない人もいるだろうから、犯人

についてはネタバレなしで書く!!この手の叙述トリックの映像

化としては、過去最高のクオリティだったのでは?(チョットホメスギ)


フジテレビ 公式サイト

アガサ・クリスティーが1926年に発表した人気長編推理小説アクロイド殺し」を日本で初めて映像化。さらに、今作は舞台・映画・テレビドラマと数々の名作を世に送り出し、その作品の持つ魅力で日本中を虜にしている三谷が脚本を担当し、『黒井戸殺し』として「三谷流・アクロイド殺し」を作り上げました。

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三谷×アガサ・クリスティーといえば、フジテレビ開局55周年特別企画として2夜連続で放送した『オリエント急行殺人事件』(2015年1月11日・12日)において初コラボレーションが実現し、記憶にも記録にも残る作品を世に送り出しています。/「アクロイド殺し」はアガサ・クリスティー(1890~1976)による6作目の長編小説であり、エルキュール・ポアロシリーズの3作目にあたります。事件が起きた人間関係を知るポアロの隣人による手記を読んでいく形で進んでいく本作は、その結末におけるトリックの斬新さによって、当時世界中に衝撃を与えました。そのトリックを巡って「フェア・アンフェア論争」が引き起こされ、長らく「映像化不可能」とされてきた推理小説史上における金字塔的な作品と言えます。/「黒井戸殺し」の主人公は、「オリエント急行殺人事件」同様、日本の伝統芸能狂言の第一人者と言われている野村萬斎演じる名探偵・勝呂武尊(すぐろ・たける)。萬斎のドラマ出演は「オリエント急行殺人事件」以来、約3年3ヵ月ぶりとなります。そして勝呂の良き相棒としてコンビを組み、事件の謎に立ち向かっていく、いわば“バディ役”となる、医師・柴平祐を演じるのは、三谷作・演出による舞台「ベッジ・パードン」(2011年)で萬斎と同じ舞台には立っているものの、テレビドラマでの共演は今回が初めてとなる大泉洋。芸達者な二人が紡ぎ出す独特の世界観と圧倒的な演技力に今から期待が高まります。

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 さらに物語を彩る個性豊かな登場人物たちには豪華キャストが決定しました。三谷作品には初出演となる、余貴美子草刈民代向井理佐藤二朗和田正人、三谷ドラマには初出演の寺脇康文(舞台は三谷演出の2007年「コンフィダント-絆-」に出演、映画は2008年「ザ・マジックアワー」に出演)、三谷演出の舞台や映画、ドラマに出演している浅野和之秋元才加、三谷脚本のNHK大河ドラマ真田丸』に出演している、大泉をはじめ、吉田羊、松岡茉優藤井隆今井朋彦斉藤由貴遠藤憲一らがそろい踏みしました。/これらの出演者たちが代わる代わる事件の容疑者として浮上していく中、それを勝呂が柴の力を借りて解決していく、一瞬たりとも目が離せない珠玉の作品として作り上がっています。ミステリーの名手と言っても過言ではない三谷が伝説的名著を現代に蘇らせるこの春注目の『黒井戸殺し』。豪華ゲストの個性がぶつかり合う一夜限りの夢の3時間をぜひお楽しみ下さい。』

※相変わらず、野村萬斎の探偵の誇張演技は、やりすぎ感満載なままだが、今回は

たとえば、刑事役の佐藤二朗さんとか、語り部の姉・斉藤由貴さんなど、やはり

テンション高めの脇役が、野村萬斎に合わせて尋常じゃない演技をぶつけてくれ

ているせいで、独りだけ浮いてしまう事態は避けれてるように感じた。(コレッテイトテキ?)


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佐藤二朗との過剰演技合戦は見ものだった!


大泉洋 2018/04/14 20:00 黒井戸殺し始まった!!

『今おにぎりロケから帰ってきました!黒井戸殺し始まってる!!僕も初めて見ます!いやー既にワクワクしますねー(o^^o)』

※「初めて見ます」って・・・w 役者さんって、自分の出たドラマをTVで初めて

観賞するってこと、あるんだねぇ~~~。


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※昭和20年台ぐらいの雰囲気も見事に醸し出していた。

金田一シリーズとかもやってるフジテレビだけに、その

ノウハウが活きたというべきか・・・

松岡茉優さんは、昭和初期の女優さんに通ずる清楚さがあったナヤ~。


スポニチアネックス 「黒井戸殺し」三谷幸喜氏 大泉洋の魅力は振り回される「受けの芝居」“要”は斉藤由貴に託す

『脚本家・演出家の三谷幸喜氏(56)がミステリーの女王アガサ・クリスティーの名作を脚色するドラマ第2弾、フジテレビ「黒井戸殺し」が14日午後7時57分から3時間スペシャルで放送される。三谷作品初出演となる5人を含め、総勢16人の豪華キャストが顔を揃えた。とりわけ大泉洋(45)と斉藤由貴(51)がカギを握りそうだ。 (中略)「アクロイド殺し」は、クリスティーが1926年に発表した6作目の長編小説。名探偵エルキュール・ポアロのシリーズ3作目に当たる。英国の片田舎キングズ・アボット村で、村の名士アクロイド氏が短刀で刺殺されるという事件が発生。その直前には、アクロイド氏の婚約者フェラーズ夫人も睡眠薬による自殺を遂げていた。町医者・シェパードは2人の検死を担当し、異常事態を手記に書き留める。シェパード医師の手記を読む形を採り、物語は展開。結末におけるトリックの斬新さは当時世界中に衝撃を与え、そのトリックをめぐり「フェア・アンフェア論争」が引き起こされ、長らく「映像化不可能」とされてきた。

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「黒井戸殺し」は舞台を昭和27年(1952年)の日本に置き換え。名探偵ポワロ→勝呂(萬斎)と相棒を組み、事件の謎に立ち向かうシェパード医師→柴平祐は大泉洋(45)が演じる。萬斎のドラマ出演は「オリエント急行殺人事件」以来3年3カ月ぶり。三谷氏作・演出の舞台「ベッジ・パードン」(11年)で共演した萬斎と大泉だが、テレビドラマ共演は初となった。そのほか、余貴美子(61)草刈民代(52)向井理(36)佐藤二朗(48)和田正人(38)が三谷作品に初参加。三谷作品の常連と言える松岡茉優(23)秋元才加(29)寺脇康文(56)藤井隆(46)今井朋彦(50)吉田羊(年齢非公表)浅野和之(64)遠藤憲一(56)と豪華キャストが勢揃い。演出は「世にも奇妙な物語」シリーズや「リーガルハイ」シリーズ、「マルモのおきて」などの城宝秀則氏が担当した。

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  三谷氏はキャスティングについて聞かれると「僕が決めたわけじゃありませんが」と断りながら、出演者の顔が並ぶドラマのポスターを指さし「キャストを見て犯人が分かるようなことには絶対しなくない、とプロデューサーにはお願いしました。もし、この中に国生さゆりさんがいたら、国生さんが絶対犯人。石野真子さんも犯人役をやることが多いんですけれども」と笑いを誘い「今回は、そういう感じの人が1人もいません。物語上もそうですが、視聴者の皆さんの推理という意味でも、きちんと全員に容疑がかかる、より楽しんでいただけるキャスティングになったかなと思っています」と手応えを示した。/萬斎のバディ役に、舞台「ベッジ・パードン」で息の合ったコンビぶりを披露した大泉の起用を希望したものの、プロデューサーに進言はしなかった。「心で念じていました」と笑い「彼はサービス精神も旺盛ですし、バラエティー番組に出演してもおもしろい。視聴者の皆さんは割と彼のことを、ボケとツッコミでいくとツッコミ型というか、何か場を引っかき回すタイプの俳優さんと思いがちですし、そういう役を振られがちなんですが、もちろん、それもいいんですけど、彼の本当のおもしろさはやっぱり受けの芝居だと思うんですよね」と魅力を分析した。/印象に残るのは、イッセー尾形(66)主演のNHK「たった二人の人生ドラマ」(06年)。イッセーとゲストの大泉、石田ゆり子(48)小松政夫(76)が福岡・中洲の屋台を舞台に、全編アドリブの2人即興芝居をそれぞれ繰り広げた。「イッセーさんがいろいろ仕掛けてくるのを、大泉さんは全部きちんと受けて、リアルに反応して返すんですよね。それが本当におもしろくて。まだ知り合う前だったんですが、『この人は本来は受けの人なんだ』と思ったんです」。これが16年のNHK大河ドラマ真田丸」にもつながった。大泉は、主人公・真田信繁(後に幸村)(堺雅人)の兄・信幸(後に信之)を熱演。父・昌幸(草刈正雄)と徳川家康内野聖陽)の間、侍女として仕える元妻・こう(長野里美)と正室・稲(吉田羊)の間などで板挟みの連続。「1年間、お父さんをはじめ、いろいろな人にずっと振り回される役をお願いして、やっぱりすごくよかったですし、今回も萬斎さんに振り回される役で、素晴らしい芝居をしてくれたと思います」と絶賛した。

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医師・柴(大泉)の姉・カナを演じる斉藤に関しては、三谷氏が希望。「原作だとキャロラインですが、この物語の一番のキーパーソン。ひょっとしたらクリスティーの全作品でも、最も印象深い登場人物かもしれません。クリスティーはこのキャロラインという人から後々、ミス・マープル(初登場は1930年の長編『牧師館の殺人』とされる老嬢の名探偵)を生み出したんじゃないかなと思うぐらいのキャラクターなんですよね。誰が演じるかで、作品のイメージがたいぶ変わってくると思います。詮索好きで、ちょっとおっちょこちょい。どこか悲しげな部分もあり、母性も兼ね備えている。彼女が年老いたらミス・マープルになるんじゃないかと想像させるぐらいのキャラクターという意味で、僕の中で斉藤由貴さんのイメージが強く、すごくピッタリだと思っていました」と振り返った。/95年、斉藤が28歳の時に主演した舞台「君となら〜Nobody Else But You〜」(演出・山田和也氏、14年に竹内結子主演により再演)は三谷氏の脚本。斉藤がコメディエンヌとして大きく羽ばたく作品の1つになった。「真田丸」でも徳川家康の側室・阿茶局を好演し、インパクトを残した。大泉、斉藤をはじめ、三谷氏が信頼してやまないキャストとともにクリスティーの世界を作り上げた。』


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草刈民代カルーセル麻紀っぽいビジュアルであった。あと、写真は

キャプチャり損なったけど、怪しい女中頭役の余貴美子さんが最高ダッタ!


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※立ち聞きマニアの藤井隆www ハマり役だったかも~♪


大泉洋の魅力を存分に引き出した『黒井戸殺し』 

   シリアスとコミカルのギャップは三谷幸喜ならでは



大泉洋の姉役で出ていた斉藤由貴は、例の不倫騒動による

 休業時代を経て、復活1発目のドラマがコレだったようだ。

サイゾーウーマン 斉藤由貴、“パンティ不倫”から復帰の一方で50代医師は“窃盗未遂”!? 分かれる明暗

『「医師が白旗を上げたのは、昨年9月発売のフラッシュ(光文社)が報じた“パンツ写真”の影響といわれています。斉藤由貴のものとみられる下着を、医師が頭に被っている衝撃写真で、不倫以上にこちらの写真が、ネット上でも大盛り上がりを見せていました」(芸能ライター)

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  そんな中、年末になると、斉藤がドラマや舞台にキャスティングされていることが判明。NHK大河ドラマ西郷どん』こそ降板したが、4月放送の『黒井戸殺し』(フジテレビ系)や、公開中の映画『いぬやしき』にも出演している。さらにはバラエティにも出演と、すっかり通常モードに戻った様子の斉藤だが、医師を巡っては5月7日発売の「週刊現代」(講談社)が、離婚調停中であることをスクープ。さらに、直撃を試みた記者が手にしていたICレコーダーを、医師が奪い取ってしまったことが報じられた。「その後、医師に返却してほしい旨を伝えるも、『知りませんね』などとしらを切られてしまったそう。記事は『相変わらず他人のものに手を出す。「手癖」の悪さは直っていないようだ』などと、皮肉いっぱいに締めくくられていました」(スポーツ紙記者)


  不倫騒動時から、医師はマスコミ取材にかなりの敵意を持っており、恫喝されたという記者も多かったそうだが、この件に関しては窃盗罪に問われかねないトラブルだけに、離婚と同様、行く先に注目が集まっていたという。「レコーダーの録音データには、別件の取材音声なども含まれている可能性もあり、単に買い換えれば済む問題でもない。『週刊現代』側も困り果て、再三返却を申し入れ、先日ようやく手元に戻ってきたそうです。世間からのバッシングに加えて離婚調停中、そこに警察沙汰を自ら招くのは得策ではないとして、さすがの医師もそこは冷静な判断をしたのでしょう」(同)/女優として完全復帰しつつある斉藤に対し、立て続けに苦境に見舞われる医師。自らが招いた状況とはいえ、明暗が大きく分かれる不倫カップルとなってしまったようだ。』


三谷幸喜のニュース - 「黒井戸殺し」違和感も ドラマ化が難しいクリスティ小説


アガサ・クリスティーファンも納得のドラマ化と言い切って良いのではないか?


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※こういう、素敵な構図の屋外シーンは、事件がおおよそ閉塞した空間で展開

していくだけに、ホッコリさせられるものがあったわー。三谷監督のこだわり?





☆書籍「元気が出る言葉」&サライ「日めくり漱石」をお届け♪

(詳細は、1月2日の日記を参照のこと!)


☆さ~~て、本日5月21日(月)の、「元気が出る言葉」は~?


『私たち一人ひとりが 航海しているこの人生の 広漠とした大洋の中で、理性は羅針盤、情熱は疾風。』
出展:「人間論」
発言者:アレキサンダー・ポープ (イギリスの詩人 1688年5月21日~1744年5月30日)

『解説:「人生は航海だ」というフレーズはよく聞く。この世に生を得て大海原の中を漂うのが人生の定めであるなら、その運命とやらをちょいと面白くして見るすべは、クールな頭とホットな心なんだろう。それを、「理性は羅針盤、情熱は疾風」と表現するのがカッコいい。ポープは日本ではあまり知られていないが、イギリスではシェイクスピアの次に引用数が多いほどの18世紀を代表する詩人だ。人生は航海、決して後悔はするなかれ。』


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◎関連書籍、楽曲、映画(ドラマ)などなど・・・



失敗するは人間なり、それを寛容するは神なり


幸せ者とは、何ひとつ期待しない者のこと。ゆえに彼は、決して失望することがない


女は彼女と恋に陥っている男を憎むことはまずないが、多くの場合、女は彼女と友だちである男を憎む


学者は「自然」の探求を歓び、愚者は余計なことを知らぬのを歓ぶ


間違っていましたと認めることを決して恥じるべきではない。それは、言い方をかえれば、昨日よりも今日の自分の方が賢くなったということだ


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エターナル・サンシャイン


※この映画のタイトルは、劇中でキルスティンが引用するポープの詩

「エロイーザからアベラードへ」から付けられている。


ミスカトニック大学付属図書館資料室

『略歴:18世紀前半、いわゆるオーガスタン時代(Augustan Age)と呼ばれる時代を代表する詩人。裕福な商人の家に生まれたが、生来病弱で体も小さかったことから、政敵にはそのことでしつこくからかわれた。学校教育は受けなかったが、独学で古典文学や英文学を学んだ。特にドライデンの英雄対韻句を自家薬籠中のものとした。

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/作品:ポープが活躍したのは新古典主義が主流であった時代であり、彼もまたそうである。少年時代に牧歌詩を書くことで修行したのも、古典詩の伝統にのっとっている。「牧歌詩」(Pastorals,1709)は16歳の時の作品といわれる。「髪盗み」(The Rape of the Lock,1714)は実際の事件に基づいて書かれた疑似英雄詩である。事件そのものは当時社交界の花形だったアラベラ・ファーマーの美しい巻き毛を、親族のある青年貴族が切り取ったというだけのことなのだが、ポープはそこに当時流行した薔薇十字団の思想を盛り込んだ(ちなみにその薔薇十字団の思想の種本となったのは、「ガバリス伯爵」というノンフィクション(という体裁の小説)だが、この作者であるモンフォコン・ド・ヴィラールは秘密を漏らしたためか、惨殺死体となって発見された)。

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ポープの才能が最も輝いたのは風刺詩であった。「愚人列伝」(Dunciad,1728,42)は原題の意味はdunce(愚者)+ad(賛歌)で、「イーリアス」(Iliad)のような叙事詩固有の命名法である。「ある英雄詩」という副題がついており、明らかに叙事詩を意図した作品であった。内容は同時代の文壇を「暗黒の帝国」とし、その住人たちの愚かさを風刺したものだ。/また20歳の時に書いた「批評論」(An Essay on Criticism,1711)はホラティウスからフランス新古典主義至る作詩の理念と技法を概観したものである。思想の深みや独自性こそないものの、万人受けするような格言風の真理を、的確に言い表している。その20年ほど後に書かれた「人間論」(An Essay on Man)は理神論を韻文に仕立てたものである。ポープの特徴は秩序だった形式の完璧さと、行と行のバランスを対句表現や行間休止によってさらに強調している。それ故に思考も表現もくっきりと割り切れる感じで、読者はすんなりと理解できるが、しかし反面その程度の深みしかないともいえる。』


☆本日の、『日めくり漱石』は・・・

サライ 「夏目漱石」の記事一覧


“日本目下の状況に於て、日本の進路を助くべき文芸はいかなるものか(『ノート』より)”


【1901年5月21日の漱石】ロンドンの下宿で「理想の女性」について語る


今から115年前の今日、つまり明治34年(1901)5月21日、ロンドンの漱石は朝目覚めたときから、髭の右のつけ根にデキモノでもできたような痛みを感じていた。原因はすぐに思い当たった。前夜遅くまで同宿の池田菊苗(いけだ・きくなえ)と話をしながら、漱石は自分の髭をずっとひねっていたのである。/池田菊苗は漱石より3つ年上。のちに理化学研究所の設立にも尽力する化学者で、「味の素」の発明者としても知られる。1年半のドイツ留学を経て、ロンドンの王立研究協会で研究を深めるべく、2週間ばかり前から漱石と同じ下宿に逗留していたのだった。前夜、両人の間でとくに盛り上がったのは、「美人」に関する話だった。


それぞれが自分の理想とする美人について事細かに述べたてた後、その理想とそれぞれの現実の奥さんとを比較してみると、いやはや驚くばかりかけ離れている。ほとんど比較しようもない。ふたりは互いに、大笑いしてしまったのだった。《両人現在の妻と、この理想美人を比較するに、ほとんど比較すべからざるほど遠かれり。大笑いなり》というのが、その日の漱石の日記の記述である。/漱石の妻の鏡子が身勝手な男たちのこの会話を聞いたら、怒っただろうか。いや、きっと「何をおっしゃっているのやら」と、右から左に聞き流しただろう。そのくらいの度量は持ち合わせている鏡子夫人である。「そうでなきゃ、あの人の奥さんなんて、つとまりませんよ」そんなつぶやきさえ、聞こえてきそうだ。もちろん、漱石と菊苗は、美人談義にばかり明け暮れていたわけではない。このあと菊苗の帰国(8月30日)まで続く交流の中で、両人は、世界観や禅の話、哲学のこと、文学のことなど、深く真摯に語り合った。漱石にとって、極めて有意義な時間だった。


後年、漱石はこう語っている。《倫敦(ロンドン)で池田君に逢ったのは、自分にとって大変な利益であった。御蔭で幽霊の様な文学をやめて、もっと組織だったどっしりした研究をやろうと思い始めた》(『処女作追懐談』)/そもそも文部省が第1回の給費留学生としての漱石に与えた課題は「英語研究」だった。漱石はこれを受けて、明治33年(1900)6月16日付で、次のような誓書に署名・捺印して文部大臣あてに提出している。《今般英語研究のため満二年間英国留学命ぜられ候については、留学中ならびに帰朝後とも固く御規定の旨を遵奉(じゅんぽう)し誓って違背(いはい)つかまつらず候》


ここにも、はっきりと「英語研究」の4字が明記されている。その一方で、漱石は余りに限定的な課題の示し方に疑問と戸惑いを感じ、留学準備のため熊本を引き払い上京すると、文部省の専門学務局長・上田万年(かずとし)のもとを訪れ、こう問い質した。「留学中の研究課題は、英語でなく英文学ではいけないのでしょうか」/すると、漱石と同年生まれの国語学者でもある上田は、こんなふうに答えた。「別段、窮屈な束縛をするというのではありません。ただ帰国後、高等学校もしくは大学で教えるべき科目を研修してもらいたい」/この口頭でのやりとりを経て、ロンドンの漱石は「英文学研究」に勤しんでいた。ところが、池田菊苗と対話を交わすうちに、もっとどっしりとした、深く掘りさげた研究に取り組みたいという気持ちを固めていったのである。


細かすぎて伝わらない関連動画など

(「ロンドン」「理想の女性」で動画検索してみました!!)


ナインティナイン×ロンドンブーツ 岡村隆史の理想の女性像に一同ア然 (6分)



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※ウチの妹がけっこう岡村さん、好きだったりする。。。


●和牛が語る 女性の理想の体型



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ジョニーAのつぶやき:「ロンドン」で検索して、「ロンドンブーツ」が引っかかるとは予想外だった~!