【映画学概論9への寄稿文】

先日5月28日(土)に大阪府立青少年会館文化ホールで行われたABCラジオ『アシッド映画館』のト-ク・イベント、『電影特殊講義 映画学概論9』のパンフに、「アシッドと私」というタイトルで文章を書いてくれませんか?とぶっちょカシワギ氏から依頼が来た。なもんで、昔のメモ帳とか引っ張り出して来て、適当にお茶を濁すような駄文をしたため、返送した。無事に使われたんだろうか???ボツになってない事を祈りつつ・・・せっかくなので全文ここにも記しておきたい。

↓本文中の、センセ=平野秀朗さん、むっちゃん=鳥居睦子さん、番組のパーソナリティのお二人である。

「アシッドと私」
アシッドを聴き始めた頃の私は、アニメと一部の邦画しか知らない、究極の洋画オンチだった。それこそケビン・コスナーハリソン・フォードロバート・デ・ニーロの区別もつかないレベルの。「よーしこれから覚えて行くぞ~!」と決心し、アシッドのお三人さんの発言を、毎週ことごとくメモっていく事にしたのだった。しばらくすると、テープに録音して後ほど一時停止ボタンなども駆使しながら書き起こす、というやり方を覚えるのだが、当初は生で聴きながら必死になっての走り書きをしていたw 映画の知識が無いこともあいまって、今読むと意味不明なメチャクチャな記録となって残っている。で、面白いので抜粋してみよう。(間違いもあえて直さずそのママ書く。)

【某月某日。「ブレインデッド」スプラッタ マインド・カット・ムービーと呼んで欲しい宣伝マン ナボリアッツ(「リビングネッド」などサムライビー)映画祭でグランプリ受賞 かまれるとゾンビになるサル→動物園で飼うなボケ! ゾンビの赤ちゃん人形をグッズ展開? 試写会 血みどろシーンで大ウケするむっちゃんに、「あぁ、この人となら一緒に番組やっていけそうや」】
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これは聴いた日のことを鮮明に覚えている。けっこうモラルにはウルサイむっちゃんだが、この手のオバカ・スプラッタものはOK!という事を知り、安堵するセンセの心境が伝わってくる放送だった。

【「ブルース・リー物語」キレイ事の世界だけ 黒い噂やノラミャーオとの浮気もナシ 奥さん(セクシー)が本当にリーを愛している&商売人 「細腕繁盛記」風の前半 我が家には悪魔が取り憑かれている その悪魔は子供を狙い続ける→ブルースが退治できないのでブランドンへ 実際もブランドンが悲劇の死を遂げる リアル 余談 逆に夫が有名になったら、それまで支えてくれた妻を捨てるパターン・・・タマキコウジ、ホサカナオキ 殺された人・・・ロバート・ジョンソン(女に撃たれた)、ラバンバのオクスレディー(飛行機事故)、サムクック(イタリア人の奥さんに撃たれた)、マービン・ゲイ(お父さんに撃たれた) 年を重ねるごとにハデになっていく奥さん・・・Eプレスリー
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なんか余談がやたら多い時は、ぼんちゃんが張り切ってる、というか暴走している時だったw 番組初期は、ついつい話が横道にそれて収拾が付かなくなる、というのがたまにあった程度。しかしだんだんぼんちゃんは、無理にとんでもない具体例とか洒落(自称:アメリカンジョーク)のフレーズを考えてきて、センセを笑かすことだけに力を注ぐようになって行ったのだったw

【恋人と別れたシャロン・ストーン(「トータルリコール」)ー(電撃婚約)ービル・マクドナルド(「ガラスの塔」のP)ーナオミと9年同棲 昨年籍を入れたばかり ←仕向けたジョエス・ターハス(脚本家・奥さんあり)ー(結婚)ーナオミ(母親発言「シャロンはあばずれ!」TVワイドショーで)五角関係?六角関係?「氷の微笑」の天才脚本家が全て仕組んでいた!!】
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当時、ココに書いた人物の顔も名前も全く知らぬまま、ただただ必死になってメモっていた訳だが、今読み返したら、なーんかムッチャクチャどろどろした相関図やなぁ~~。ラジオでこんな事を堂々と喋ってたっていうのが信じられんわw

センセのハリウッド・スキャンダル情報はタメになることが多かった。ストーリーがしょうもなくても、監督の本音だとか秘密(ヅラ・ホモネタは、竹内義和先生に対抗しようとして、無理矢理言ってたきらいもあるけど・・)を知ってると、退屈せずに済む事もある。一番覚えているのは、ジェームズ・キャメロン監督作品『トゥルー・ライズ』。中盤で大いなるダレ場があるのだが、「監督の、妻の事をずっと監視していたい!という思いが、極秘機関を使ってまでも身辺調査する、というどーでもいい冗長なシーンに繋がっているのだ!」とのセンセの事前の解説を聞いていたせいで、途中も飽きずに楽しむことが出来た♪「アシッドを聴いてて良かった!」と思えた、数少ない(イヤイヤイヤ)良い思い出だ。

“映画には監督の趣味・趣向、性癖などが必ず現れてしまうものだ!”
“身につまされる映画こそが、その人にとっての名作なのだ!”
というセンセの2つの持論は、映画観賞においての、僕の座右の銘となっている。 あれから十数年。僕もかなりの洋画ツウになった(相当偏った知識が詰まった邪道ではあるが)。番組も当然、かなりの様変わりを見せた。センセ的には、「北京原人」中傷による東映ハバチョ事件(試写会の招待券を送ってもらえなくなった!)あり、鈴木敏夫さんに気に入られ、ジブリに勧誘されかける事件あり、タランティーノジョン・ウージョージ・ルーカスなど大物との対面も果たし(中でも大物中の大物、マリオ・カサールの回は面白かったなぁ~w)、業界内での存在感を増すのと引き換えに、番組での発言は少々丸くなって行った。昔の、ただ熱いだけの映画大好き兄ちゃんのままでは居られなくなったわけだ。この変遷は、古株リスナーからすると、嬉しくもあり寂しくもあり、といったところではないだろうか。ディレクターも、ぼんちゃんこと板井さんから、ジャンボ藤井さんへ、そして伊藤さんへ、と移り変わり・・・何より番組開始時には独身だったセンセとむっちゃんが、今は結婚しており、しかもむっちゃんはもうじき双子のママとなる。思えば長い道のりである。

知る人ぞ知る、平野秀朗ファンクラブ(H2O2)は、かつて関西近辺に住む人々が寄り集まり、会報を媒介に感想を述べ合う(現在のアシッドHPにあるBBSのアナログ版と言えよう)活動が主だったが、最近では、イベントに参加出来ないような遠方の方々に、イベント内容を会報で伝える活動がメインとなっている。インターネットの時代に、依然として紙媒体である(苦笑)。これも、センセの古い物好き(DVDよりビデオ、シネコンより一日何回観ても文句言われへん田舎の映画小屋を愛す心♪)が少なからず影響しているのじゃないかと思う。(・・というのはチョットこじつけっぽいかw )

現在、ブログで映画の感想などを書いているが、映画を一から教わった師匠が平野先生だけに、どぅ~~しても僕の感想文は、邪推がメインになり易い。センセの著作「レッツ・ゲス・シネマ」(マイ・バイブル!)をいつのまにか意識した文章になってしまうようだ。でもそれは己で選んだ道。基本が歪んでいようが、偏っていようが、僕にとっての基本は基本である事に間違いは無い!!今後も「ひねくれ者」だの「天の邪鬼」だの、と陰口を叩かれながらも、我が道を、アシッド魂を、貫き通して行きたいと思っている。