【キサラキ☆☆ 2回目】感動深まる

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昨日の日曜日、神戸で会議があり、しかも予定以上に早目に終了。こりゃあ、シネ・リーブル神戸に『キサラキ☆☆』
観に行かにゃあならんっしょー!劇場が俺を呼んでいるぅ~~~。
という訳で、今回は既にこの作品を観た方限定の内容でお届けする。
ネタバレもイッパーイ(て言うか、むしろネタバレしか書かない!)だからして・・・。くれぐれも、未見の方は読まぬように!
では、前よりず~っとディープな『キサラキ☆☆』論の、始まり始まり~~~~~~~~♪

大好きなシチュエーションが合わさってしまった!

改めて自分はこの作品の、「設定」、「演出」、「空気感」、いずれをとっても好みだなぁ~、と再確認した。かつてラジオ関西の『ピーターパンクラブ』というアイドル番組に関わっていた際、アイドルヲタクと呼ばれる人たちとの接点があった。自分は最後まで彼らに染まる事はなかったものの(アイドルそのものよりMCの方のファンだったせい)、アイドルヲタに対する偏見だとか嫌悪感みたいなもの(世間一般レベルのネ)は一切排除できていた。アイドル崇拝主義の人たちの、純粋なる情熱ってものを自分なりに認知していた、というか・・・。

そして、とあるHPの掲示板に集う同志たちが、初めて顔を合わす“オフ会“という場の独特な雰囲気、お互いをハンドルネームで呼び合うその空間を、実体験しているがゆえに、思わずニヤリ、という感じで終始身につまされて見入ってしまったのだった。

2回観てわかる構成の妙

ストーリー構成としては、最初は全く情報を知らない観客たちが、登場人物の洪水のように溢れる台詞を混乱しながらも取り入れてゆき、徐々に真相に近づいてゆけるように仕組まれている。そして物語終盤に至っては、観客と登場人物の関係は逆転。もはや観客は話の概観をおぼろげに知り、登場人物たちがその真実に気付くのを、やきもきしながら見守るという展開になっていくわけだ。これが爽快感につながる。タランティーノが『パルプフィクション』を創った時に、この手の構成をこう呼んだ。 羅生門的展開 と・・・。でもこれは相当緻密な計算ができる者でなければ書けない脚本だろう。三谷幸喜さんの
映画や演劇にも、似たテイストを感じる。ドンパチだけが、やたらド派手な洋画に対抗し得る邦画は、低予算でもキラリと光るストーリーテリングを持った、小品(特にコメディに傑作が生まれる公算大♪と思ってる)にこそ可能性アリ!!という持論を再確認した。

真相を知った上で観た2回目の鑑賞は、実に驚く発見ばかりであった。初見ではキモいストーカーにしか見えなかったイチゴ娘さんは、2度目に観たら終始イイお父さんなのである!!ちっともキモくない!何だこの役者は!一粒で二度美味しいグリコ・アーモンドチョコレートみたいな味わいではないか。オダユージさんの「彼女」という呼称も、マネージャーと解って見ればごくごく自然!このキャラも、最初は可愛い女性ファンの「イチゴ娘」目当てのムッツリスケベ人間じゃないのか?と見事にミスリードされていて、脚本家の思うツボだったよー。悔しい~!みな、秘密を持っているのにソレを明かさない、という非常に都合のいい設定は、一歩誤ればウソ臭い、単なる三流演劇に成り下がってしまいがちなファクターだったろうに。いやはや、五者五様の理由で自然に見せ通すとは。。。
すなわち、本当は正体を隠すつもりだったかも知れないが、やむをえない話の流れでバラしてしまう家元(ノベライズではまた少々設定が変わっているが)、自己紹介の時に、隠さずに本名も言うつもりだったのを皆に止められたオダ・ユージ、言うつもりで機会を伺っていたが、話の流れで言えなくなってしまったスネーク、最初っから全く言うつもりはなかったイチゴ娘、そして、話に入り損ねて仕方無く黙っていた安男、、と見事に全員違う理由で正体を見せないのである。アッパレ。ブラボー。グッジョブ♪だ。
以下、各キャラクター別の感想。。。

家元

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得意げにコレクションを披露し、薀蓄を傾けて悦に入るシーンでは、横顔が唐沢寿明に見えたものだが、その後の彼を待つ、悲惨な仕打ちを知った今となっては、その横顔はアゴのしゃくれが目立った、元ほっしゃんの相方・宮川大輔にしか見えなくなってしまってるのだった。あ~、家元、カワイソス。て、まぁ、その後には、ショックを補って余りあるくらいの幸せな結末も待ってはいるけどサァ~~。ちなみにノベライズでの家元は、最後にもうひとつの秘密を提示して、ストーリーを終了させる。ノベライズ未読の方は、このあとを読み飛ばして、次のオダユージの項までお飛び下さい♪


ノベライズでは、イチゴ娘さんのストーカー行為(実際は違ったけど)の説明の前に、もう一件、ミキちゃんが、不審者に抱きすくめられて、足にボールペンを突き刺して撃退したという事件について語られる。そしてそのストーカーは、実は家元だったというオチがつくのである。何とも後味の悪い、しかしアイドルヲタには付き物の、「らしい」エンディングだとも言えよう。映画でその設定をカットしたのは大正解だったろう。だって、感動台無しだもんネ~~~~~。

オダ・ユージ

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初回鑑賞時は、文句なく家元のシーンが、一番の涙腺直撃感動シーンだったが。。。2回目はもっと早く山がキタ♪オダ・ユージが安男に刺されそうになって「好きだったんだ~」と告白するくだりから、もう涙ダダモレ状態。アイドルと二人三脚のマネージャーの本心っていう部分にも、ドラマを感じたなあ~。あと、細かい部分では、イチゴ娘さんのカチューシャを見た瞬間のギロッと睨む鋭い視線!!あそこで、オダはイチゴ娘=ストーカー=殺人犯、というのを確信していたのだろう。この脚本の潔いところは、観察眼の鋭い人には、早目に真相がわかる仕掛けを丁寧に挿入しているところ。デブッチャーの汗拭きは、イチゴ娘さんがミキちゃんの部屋の様子を語っているシーンですでに強調されていたのである!

スネーク

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彼のノリは一貫してロックンロール♪あまり深く考えず、本能で行動する。調子がいいので、陰険になりがちな雰囲気の時も、彼が和ませてくれる。ある意味貴重なムードメーカーだ。それら全てが、彼がモヒカン店員であった事を提示している。始めは何も知らない観客が、途中で登場人物を追い越して真相に気付き、ワクワクしながら見守るようになる羅生門的展開だ、と先に書いた。その典型が例のシーンだ。ずっと見当はずれな推理をしまくっていたスネークが、「アロマキャンドルはどうして倒れたんだ?」の問いに対して、おずおずと答える。「・・・地震?」。この瞬間、どんな鈍い観客でも、真相のあらましを知らされるのだ。いわば、スネークは最後の観客。もし家元やオダユージが論理的な思考でポンポンポーンと地震まで導き出したとしたら、決して味わえない感動に繋がるのだ。

安男

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伏線の見事な箇所としては、お菓子作りが趣味で、アップルパイとクッキーが繋がるという符合!(そんなん誰が気づくんや!!いやきっと鋭い人になら解るんだろうナ)上がスーツ、下はジーンズの間抜けな恰好で「ヤッくんです!」「うそぉおおお~~~う!」のシーンは、最高潮の絵ヅラだったよー。自分の中では『ラヂオの時間』の「ハインリッヒィイ~~~ッ!!」のインパクトに匹敵する名シーンとなったッス。ヲタ演技では、やはりこの人が最先端を行ってる気がすんなー。最初、いきなりの登場でネタを始めたときはどうなることかと思ったけど(「おねまきいただき・・・」頬っぺたペシッ!のとこネw)
最後のプラネタリウム星空に映る回想シーンでは、田舎のバスで旅立つミキっぺのシーンに一番ホロッとキタ~。安男、お前は福島一トレンディな男前だっ!!サンクス。間宮兄弟の続編も頼むゾッ!!

イチゴ娘

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考えてみたら、この人とオダユージは面識があるんですなー。握手会で突き飛ばされたという因縁が・・。「なんだこのデジャブーはっ!」の時の迫真の演技は、怖いほどダタ。この人の泣き笑いの演技は反則級。ポツリと呟く台詞がキュンって来る。しかも、コメディ調のところでもしっかり美味しい役に回っているし。今回、一番笑わせてもらったのも、やはりイチゴ娘語録によるところが多かったような。大のオトナが「ママレモンだ!」「いや、ファミリーピュアだった!」と真剣な表情で遣り合う姿は、滑稽で、でも少し切ない。。。(最後、言い直すこと自体、諦めちゃうもんネー、イチゴパパwとろサーモンの漫才思い出したワ、つい。)カチューシャがズルッとずれるところなんて古典的過ぎて大爆笑www

まぁ、この5人は奇しくも、ゴレンジャーに似た編成にもなっておるわのー。家元はアカレンジャー、オダ・ユージがアオレンジャーでスネークはミドレンジャー、安男さんが当然キレンジャーで、イチゴ娘はモモレンジャー、で決まり♪なんだわな~。

最後に如月ミキ、、、ではなくて、ラッキー・チャッピー♪

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この小道具の働きも秀逸ざんした。最初はただのくすぐりネタかと思っていたら・・・イチゴ娘の侵入の証拠になったり、モヒカンスネークが抱きついたように見せるフェイクだったり、容器の選択ミスを呼ぶデザインの罠だったりとかw 他にもなんかあったっけー?えっと、これ、実在するキャラクターなの?と今ふと思って、調べてみる事にした。
公式サイト キャラクターグッズ
やはり映画オリジナルだったようですナ。他にもアロマキャンドルやカチューシャを売り出してるみたい。どうせならボトルセットやフィギュアなんかも作って欲しいッスな~、セガトイズさ~~~~ん♪
キサラギ印の「ママレモン」やら「毎日香」やらまでは望みませんからあ~~~っ!