【盲導犬クイールの一生】DVD鑑賞せり。

映画『クイール』は思いっきり淡々と描かれた盲導犬の成長物語だった・・。ブリーダー(生ませ

の親)の名取裕子さんとのからみも、パピー・ウォーカー(育ての親)の香川照之寺島しのぶとの

からみも極少なめ。後半、小林薫さん登場から少しずつ盛り上がりは見せたが、どうも消化不良の

感が否めなかった。で、勧められてみたNHKドラマ『盲導犬クイールの一生』である!!


イメージ 1沢口靖子は意外と芸達者なのである・・・イメージ 2


いやはやさすが天下のNHKであった!演出が細かい!よほど映画よりも丁寧に創ってあった。

特に1話から3話の怒涛の展開は、久々に熱くなった。ブリーダーの壇ふみさんのところへ

遊びに来る亜弓ちゃんは引っ込み思案のちょっと暗い少女。ランドセルの鈴の音がクイール

をはしゃがせる。まるでクイールは“哀しい心境の人のお助け犬”として、神様によって地上に

遣わされたかのようだ。僕の大好きな、~突然の来訪者が暗く頑固な登場人物を癒し、一緒に

いるすべての人々を幸せに変えてゆく~という、いわゆる“ポリアンナ効果”を全面に押し出した

物語らしい♪クイールのおかげで明るくなった少女に、盲導犬センターへ旅立つクイールとの別れ

の時がやってくる・・・。最後、駆け去ってゆく亜弓ちゃんのランドセルの鈴の音に、反応して

吼えるクイールが涙を誘う。

そして次の第三話、登校拒否の元野球部少年とクーの交流話がこれまた最ッ高!に良かった♪♪♪

あ!あの登校拒否兄ちゃん、どっかで見たことあるぅ!!そだ!『亡国のイージス』で、イージス

艦に潜入して、北朝鮮のヨンファの陰謀を阻止しようとする若き工作員・如月クンだぁあっ!

「こーんなとこに地味に登場していたのかっ!お父さんは嬉しいぞっ!」(BY寺尾聡)

子犬を助けた身代わりに怪我をしてレギュラーを失った少年。そして、家族から理解されない

悲しみ。クイールと球遊びをするうちに心を開いていく。そしてクーに勇気を貰い、補欠から

でもいいから、と再スタートを切る少年の元へ、クイールが球を咥えて運んでゆく絶妙の演出

に涙!また哀しい子供が一人、クーによって救われた♪その後、少年はきっと学校に復帰、レギュ

ラーの座も取り返し、積極的に我が道を切り開いて、優秀な工作員へと成長して行くわけだ・・

(だから違うって!)


しかしTV版はその後、やや失速。映画とTVを比べると、結局、前半はTVの圧勝、後半は

映画の辛勝、ってところか。映画版の使用者・小林薫サン(盲人役)は、怖いタイプのオッサン

を好演しており、聞き分けのない不器用な男の悲哀をオモクソ感じた。ゆえに、クーとの生活で

その性格がガラッと変わる展開が劇的なのだ!(「アルプスの少女ハイジ」でのおんじとハイジ

の交流が、その手のストーリーではマイ・ベスト。)TV版の玉置浩二サンは、如何せん、モノ

解りのイイ紳士風だもんで、感情移入がし辛かったんである。しかし細かいシーン別なら、TV

版の方に、たくさん名シーンは散りばめられていた。夜明けを一緒に見るシーンで、陽の当たる

場所へと引っ張って行くシーンは神がかり的に素晴らしかった。あと、最後の30メートル、の

シーンも僅差でTV版の勝ちかなぁ?総合的にはTV版『盲導犬クイールの一生』に軍配は上がり

そうだ。あ、言い忘れるとこだった。うじきつよしって本当に前世は犬だったに違いない。以上。