【ゆれる】香川照之&オダギリジョー
神戸・シネカノンにて、オダギリジョー&香川照之が兄弟を演じる、話題作『ゆれる』を観てきた。
香川さんと言えば、古くは『RAMPO』(横溝正史役)から、『鬼が来た!』、『刑務所の中』、『クイール』、『北の零年』、最近では『嫌われ松子の一生』や『ゲド戦記』(声優)まで、多彩な作品に出演されている、ベテラン中のベテラン!中にはその巧さゆえに、「カッコつけ過ぎ~」「自分の事を巧いと自惚れ過ぎ~」などと反感を持つ者も多い(少なくともBBSなどでの反応はそうだ)。今回は、その批判を自ら行う(逆襲する)かのように、弟役のオダギリジョーを妬(ねた)み、嫉(そね)み、とある事件によって揺れ動く、兄弟間の心の機微を表現してくれる。しかし、この前の『嫌われ松子~』での中谷美紀の弟も無理があったけど、今回のオダギリジョーの兄役ってのも大概、無理があることには変わりないなぁ~、などと心密かに思いながら、いざ上映を待った♪
監督・原案・脚本:西川美和 企画:安田匡裕、是枝裕和 撮影:高瀬比呂志
音楽:カリフラワーズ
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子、木村祐一、ピエール瀧、田口トモロヲ、蟹江敬三
2006年日本映画/1時間59分 配給:シネカノン
※弟のいる身としては、やはり兄の稔の方に感情移入するんだろうな、と予想していたのだが、意外や意外!演技の素晴らしさも手伝ってのことだろうが、弟・猛にえらく肩入れしてしまった!!!いや、ホントーに、オダジョーもカガテルも(香川照之は普通そうは略さないだろうが・・成り行きでw)どちらも素晴らしかった!!台詞もなくただただ見詰め合う、みたいなシーンも多かったのだが、緊迫感ある迫真の演技で、ちっとも飽きなかった。ラスト近くのオダジョーのとあるシーンでは目頭が熱くなったよ。
↓このコラムは若干、ネタバレを含むので、未見の方は飛ばしたほうが宜しいかも。。。実はかくいうワタクシ、ここの「eiga.com news&噂」を読んでしまったがために、チョーットだけ重大な情報を先に知ってしまう、という失態を演じてしまった。「気をつけよう!サイトのレビューと浜村淳♪」(←あるある探検隊風にどぞw)
検察官役で木村祐一が登場。ダウンタウンのダチの、あのキム兄である。淡々とした物言いの中に、ちょっとコミカルな部分を入れながら、被告を責めてゆくという、、、キャラとしては普通に成立していると思うんだが・・・。そこはほれ、コメディ作家の一面と、後輩に説教垂れる怖~い兄さんの一面とが、どう~~したって頭をよぎらざるを得ない!そういうわけで、僕にはそのシーンだけ、「ガキの使いやあらへんで」のコントに見えてしまったのだった、、、ンムゥッ!!残念ッ!!稔(カガテル)が、「僕はモテない方なので・・」と発言した時に、ちょっと励ますような事を言うのだが、その時のキム兄の顔が、「俺みたいな顔でも、えみりちゃんを射止めたんやから!」と言うてるように見えた。そんな微笑浮かべてたしw
あと、ガソリンスタンドのバイトの兄ちゃん役、新井浩文がイイ!この人、いっつもどうってことない脇役でも存在感のある役にしてしまいよるのう。今回はオダジョーとカガテルのパイプ役として、結構ええキーパーソン演じとるで。個人的ギザ萌えベストテン入り、確定でんな♪
カガテル本領発揮の映画『嫌われ松子の一生』との共通点を見つけて、嬉しくなってるので報告してみたい。まず、松子の時は、身内の犯罪者を邪険に扱い、姉弟の縁を切るような冷酷な弟役だった。姉の人生を 「つまらん人生たい・・」 とバッサリ否定した。今回は立場がまるで逆。自らが罪を犯し 「(俺の人生は)つまらん人生だった」 と悔やむ。そして、松子にした仕打ちの逆襲でも受けるかのように、やはり身内(オダジョー)に裏切られる。いったんは。でも結局、根本のところで兄弟関係は永遠に不滅なんだ、と訴えかけて来る(松子は死んで天国へ向かう回想シーンの中で優しい弟に再会する。稔は最後、弟・猛の愛情を再び回復する)点で、両者は一致する。。どちらも魂が癒されるエンディングだった。