【奪命金】ジョニー・トーの金融サスペンス
■キャスト:ラウ・チンワン(パンサー) リッチー・レン(チョン警部補) デニス・ホー(テレサ) ロー・ホイパン ソー・ハンシェン パトリック・クン テレンス・イン ミョーリー・ウー
■作品データ:/原題 Life Without Principle /製作年 2011年 /製作国 香港 /上映時間 106分 /映倫区分 G
eiga.com 映画評論 わかりやすく、おかしく、苦いジョニー・トー版<金融投資入門>
→『そうだった、3年前、ギリシャの経済危機に端を発するユーロ暴落が起こったのだった。香港公開から数年を要するようになって久しいジョニー・トー作品だが、ユーロの不安定は解消されていないため、映画の背景のような事態はまたいつ起こってもおかしくない。/このトー版<金融投資入門>は、わかりやすく、おかしく、苦い。苦いだけではない、マネー・ゲームは思いがけない僥倖を誰かに舞い込ませる魔法のゲームであることもしっかりみせる、勧めていいやり方ではないが。トーも自らの製作会社<銀河映像>経営者として金策ではいろいろ苦渋を呑まされてきたはずだ。恨み辛みを銀行の金融商品担当のデニス・ホーにぶつけている気配もある。<金融>は手数料で銀行が儲かるだけのシステム、ノルマ遂行のための欺瞞に満ちた犯罪行為ではないか、と銀行の理不尽をつく。香港ではハイリスク・ハイリターン商品購入の際、納得購入の証拠として録音するのか? ノーリターンの際の責任を客に負わせるため? トーは、銀行よりもさらに抜け目のないヤミ金融業者も介在させ、黒社会の投資業務もたくみにドラマに引き込む。(中略)冒頭、警部補リッチー・レンは捜査の合間に妻にせがまれ高騰を続ける高層マンションを見に行く。レンは貧民アパートのほうが性に合うようで気乗りがしない。焦る妻は銀行を訪れ手付け金を作ろうとする、というように描かれる香港生活感情はとてもリアル』
※『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(09)以来、なかなか新作が入ってこなかったジョニー・トー作品。
待望の新作は、ちょっとこれまでとは毛色の違う金融サスペンス?金の欲望に取りつかれたことで起
きる事件に巻き込まれた、3人の男女の物語が並行して描かれるという内容だ。株、保険などに全く疎
いワチシに、果たして理解できるのか?とちと不安だったが、、、まぁまぁ、素人にも解り易~く創って
くれてたヨー
と呼ばれているものだそうで・・・。作家性を出しすぎると一般受けはしにくくなるものらしいー、と
いうのを今回、実感させられましたネーー
※3つのエピソードが、微妙~~に絡んでくる展開は、本来なら好みのパターンなんだが、今回
のはちょっと、ひとつひとつの出来事が地味過ぎたせいか、乗れなかったナァーーー。刑事のエピ
は、ほとんど内容的に絡んでないしネェー(通りかかってたまたま出会った、くらいの繋がり!!)
→ 『従来のノワールでハードボイルドな作風からは離れた題材だが、実にジョニー・トー的な「契約」に関する映画になっている。そう、契約とは固い約束によって強い結びつきが生まれることだが、一種の賭けでもあり、裏切りと紙一重。貨幣にも似て、下手をすれば単なる鋳造物や紙切れと化す、そんな非情の世界をジョニー・トーは描いているのである。この映画の中で、貨幣やら交換についていろいろと考えさせてくれるが映画自体はかように回りくどい印象を与えることのない、実にスキッとした彼らしい作品になっている。今回の時間軸が細やかに前後し交錯する細工は、これまでのジョニー・トーにはなかった話法です。この逸話を繋ぎ、小気味よく進んでいく群像劇になっていて、美しいスキャットの音楽もいいですね。/最後に、ジョニー・トー監督は葉巻愛好家でもある。この映画のラストを飾るラウさんも、奇しくも株で大儲けをして葉巻を吸っているシーンが、あれは彼の分身キャラであることは間違いないと思いますね』
→ 『「ジョニー・トーがお金の話!?」と気になって見に行きました。意外とコミカルな仕上がりでビックリ。つーか、「お金でお金を稼ぐのを舐めたらアカン!」っていうもっと凝った仕掛けでみせるのかなと思いきや、意外とざっくりとした金融知識で話を作っているゆるい感じにちょっと拍子抜けでした。/まぁ、アベノミクスで沸き立ち始めた日本の金融にヘンに踊らされないために、投資初心者は今見とくといいかも。これを見たら”一攫千金”みたいなへんな金融商品に、「了解しました」とは怖くて言えなくなるはず。映画の中で「投資は未来を予想するゲーム」と謳われますが、未来なんてわかんないですからね』
※「一攫千金」などという名称の金融商品、誰が買うねんwトー監督の、銀行・証券業界への痛烈な
当てこすりに思えましたナァーーーー。ますます、ワチクシの個人的なアレルギーは増すばかりデッスー
※大学時代の先輩や友人には、経済学部ということもあって、銀行マンや証券マンが結構いるのだ
けれど・・・まぁー、自分には一生縁のない世界やと最近特に思うねーーー。「地元の金持ち紹介
してくれーー」って、何度も泣きつかれたことがあるけれどー、話聞いてると、この映画のテレサ
ばりに、毎日魂すり減らすようなハードジョブだというのが伝わってくる。そしてその先輩が勤め
てた証券会社は、その後、ほどなくして消滅してしまったー。ああ無情~(因みにYのつくとこネ)
関連雑学
・色鉛筆の白はなぜあるのだろう?疑問に思う人が多いだろうが、世界堂の田中実幸によると「白鉛筆は、白い紙の場合、確かに用途は無いが、他の色と並べた時にその色を引き立てる効果がある」ということだ。