『カリガリ博士』眠り男チェザーレの原型を求めてー
欧州大戦後、ドイツ映画復興の第一声をあげた作品で、奇怪なカリガリ博士が眠り男チェザーレを操る殺人事件の数々は、実は・・・(後略)
■ストーリー:二百年前北イタリアで、カリガリ(ヴェルナー・クラウス)という医者がチェザーレという夢遊病者を使用して意のままに殺人を犯さしめた。という記録によって心狂える一青年フランシス。
■スタッフ:/監督 ロベルト・ウイーネ /脚色 カール・マイヤー ハンス・ヤノウィッツ /原作 カール・マイヤー ハンス・ヤノウィッツ /撮影 ウィリー・ハマイスター /美術 ヘルマン・ワルム ワルター・ライマン ワルター・レーリッヒ /衣装 デザインワルター・ライマン
■キャスト:ベルナー・クラウス(Dr. Caligari) コンラート・ファイト(Cezare) フリードリッヒ・フェーヘル(Francis) リル・ダゴファー(Jane) ルドルフ・レッティンゲル(Dr. Olson) ハンス・ハインツ・フォン・トワルドウスキー(Alan) ルドルフ・クライン=ロッゲ(不明)
■作品データ:/原題 The Cabinet of Dr. Caligari Das Kabinett des Dr. Caligari /製作年 1919年 /製作国 ドイツ
※なにか、秘密の世界を鍵穴から覗き見ているかのような感覚・・・。ゾクゾクしたー
この独特の様式美は・・・クセになりそうですねぇーーー。
☆The Cabinet of Dr. Caligari / カリガリ博士(1920) (67分)
→『ドイツ表現主義映画の最高傑作!原題:Das Cabinet des Doktor Caligari 1920年ドイツ 監督:ローベルト・ヴィーネ』 '
※見世物小屋のモンスターという設定、とっても乱歩っぽーーーーい♪
→ 『ウェルナー・クラウスの演じたカリガリ博士の不気味さは初期ホラー作品すべての中でも抜群の存在感と安定感を誇っています。不安を煽る作品での彼の演技の重厚さは素晴らしいの一言に尽きる。ドイツ・サイレント期の名優であるコンラート・ファイトが演じた怪物のスリープ・ウォーカー、チェザーレの死臭が漂う薄気味悪さも捨てがたい。悪役の演技がしっかりと決まっていてこそ、はじめてホラーやサスペンスは引き締まるので、クラウスとコンラートという二人の名優を悪役として使えたウィーネ監督は演出しやすかったであろう。/また二人の陰に隠れてしまいがちではありますが、フリードリッヒ・フェーエルがこの奇妙な作品の語り部として、そして物語の役柄でも重要なフランシス役を見事に演じている。彼が発狂していく時の凄みはクラウスがカリガリの誘惑に負けてマッド・サイエンティスト化する瞬間の凄みに引けをとらない。(中略)
今回久しぶりに、それも二回見ました。一回目はIVCのビデオ版、二回目はIVCのDVD版でした。じつは編集が違っていて、ビデオ版は50分弱、DVD版は70分弱なのです。そして当然ながら、DVD版の方がより解り易い。重要なシーンが多くカットされてしまっているビデオ版では分かり難かった繋がりがDVD版ではスムーズに頭に入ってきます。/カットされていたシーンを幾つか。まずはカリガリ博士が見世物の営業許可を取るシーン。ここで博士は小役人に賄賂をつかませて、営業にこぎつける。最初から悪を観客に見せる。次に猿回しのシーン。猿回しの小屋と猿が何度か登場するが、これはカリガリ博士とチェザーレとの関係と同じであることを観客に示している。街灯に明かりを灯すシーンとそれに繋がるデートシーンは災難に遭う前の彼等の束の間の平和を見せてくれていた。彼女が殺された親を探し回り、見世物小屋にたどり着くシーンなどそのほかにも実に多くのシーンが無残にカットされてしまっているビデオ版を見た人と完全版と呼んでも良いDVD版では観客の理解度はまるで違ってくるのではないでしょうか。/ビデオ版では、エッセンスは嗅ぎ取れるかもしれませんが、作品を十分に理解するにはDVD版を見ることをお勧めいたします』
※一部引用で失礼します。素晴らしい技巧解説。全文ためになりました~~!!
→ 『表現主義とかなんとか詳しいことは知りません(鋭意勉強中)が、映画というものがシナリオや演技や美術(音楽も)などを駆使して恐れや不安などの目に見えない感情まで表現できる。それを他人に見せる(焼きつける)ことができるということを、これほど意図的にやってのけた映画はなかった。この1時間あまりの映画から受け取る不安感は、同じ題材を扱ったとしても絵画や小説などの影響力をはるかに上回っているでしょう。公開当時のドイツの一般大衆が抱いていた世の中への不安と簡単にシンクロしたであろう事は容易に実感できます。この作品が怖いというより、映画というものが持っている影響力が怖い。ひょっとしてこの映画がなければ、ヒットラーも映画に注目することはなかった?
日本では翌年の1921年に公開され、谷崎潤一郎や、溝口健二や衣笠貞之助など日本の映画人にも大きな影響を与えたと言いますが、それも理解できます。。まあ、それだからこそ映画は面白いのであって興味も尽きないわけです。金代的に体系化された映画作品ができた1915年からわずか四年後の1919年にこんな映画を作ったロベルト・ヴイーネ はすごい。世界全体が浮かれ始めていく頃にこういう映画を作ってしまうドイツ人ってもっとすごい』
※サイレント映画ゆえに持つ不思議なシネパワーも感じられました!
表現主義、、、恐るべし!
※丸尾末広画
→ 『「カリガリ博士復活」は、「マンガ宝島」82年3月号に掲載された丸尾末広による漫画作品。単行本では「薔薇色ノ怪物」に収録されている。「カリガリ博士」とはドイツ表現主義の代表的な映画、1920年頃の古い映画である。これを丸尾末広が独自にアレンジした内容が「カリガリ博士復活」である。原作は、カリガリ博士と夢遊病者の二人が連続殺人事件を起こしていく話を、登場人物の一人であるフランシスが回想する形で進めていくものとなっている。この映画の見どころはラストのどんでんがえし。実のところ殺人事件は、それを回想をしている精神病患者フランシスの妄想だったという顛末。またカリガリ博士とは、現実世界ではフランシスが入院している精神病院の院長だったという。この話を丸尾末広は独自にアレンジ。精神病患者フランシスの役柄をメンヘラ的少女に入れ替えるわけです。少女はいつも男性に強姦される病的な被害妄想に取り憑かれている内容になるわけです。怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ・・。皆さん誰もが知ってる名作「カリガリ博士」が、あの丸尾末広が描くと、こんなにも少女たちがリアルで、思わず少女マンガなのかと錯覚してしまうほど、怖かったですねぇ。非常に丸尾末広らしい、これぞ丸尾さんの得意ジャンルとする作品。調べてみると、この話は、寺山修司の弟子で「マンガ宝島」の編集長だった高取英の依頼によって描かれたものということもあって、ちょっと少女的なカラーが強いのでしょうかね』
・ウォルター・ベッカー(スティーリー・ダン:1950)/真島昌利(ザ・クロマニヨンズ:1962)/イアン・ブラウン(ストーン・ローゼズ:1963)/カート・コバーン(ニルヴァーナ:1967)/ブライアン・リトレル(バック・ストリート・ボーイズ:1975)/リアーナ(1988)/橋本奈々未(乃木坂46:1993)
・武満徹(1996)/マジック・スリム(2013)
☆本日の、蛭子能収さんのひとこと!
毎日、同じ仕事の繰り返しなのは悲しいことじゃないよ |
《内容要約:「毎日同じような仕事の繰り返しで飽き飽きする」という人がいるけど、それは特に悲しいことじゃないと思う。だって同じことを繰り返していれば、お金はその分貯まっていくわけでしょ。よっぽど嫌じゃなけりゃ、そのままお金を稼いで、趣味で楽しめばいいと思いますよ》