【DVD『ココニイルコト』】再見。山南さん探し

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多分同じ事をしている人が全国に何十何百人といるんじゃないだろうか。すなわち新選組
山南さんにハマって、堺雅人さんの過去作品を遡っている人。自分は、この作品を前に一度
観ている(ビデオで)。その時は、何か瓢々とした軽いタッチの関西弁の男が出てるなあ~
くらいしか思わなかった。むしろ、その他大勢の、広告会社に勤める同僚のキャラクターが
絶妙で、そっちの方に気を取られていた感が強い。今回、再見するに当たって注目すべきは
ただ一点!現代劇の中に敢えて、新選組の山南的シーンを発見することだけだ!(なんて狭
い目的の映画鑑賞だろう!)舞台は関西という事で、言葉の面では明らかに山南度は低い。
口癖が「まー、ええんとちゃいますか?」なのは山南さん風に直せば「まあ、良いではない
ですか、近藤さん」となるのだろうか。まず、この映画の男は、テンションが無駄に高い。
落ち着いて喋るという部分が非常に少なくて残念だった。唯一、おもちゃ屋の社長と阪急ブ
レーブスの話をする際に、「あなたのせいでブレーブスは死んだんです!」と責める口調に
なるところがあって、そこで瞬間最大山南が出たように思う。雰囲気は、丸っきり山南さん
と正反対なこの男(チョンマゲ意外の堺さんを実は初めて見たからだろう)だが、細かい
キャラクターの位置付けを考えると、山南さんとの共通点も少しは感じ取れた。まず終始
絶やさぬあの笑顔。山南さんに比べると若干エロい笑顔になっているのは少々気になるが、
優しい物腰で相手の心を癒すのに一役買っていて説得力があった。次に洞察力の鋭さ。
女性の靴を見ただけで、恋人への接し方、今は別れてしまっている事など、ズバズバ当てて
しまう。山南さんは世の中の動向に明るかったが、それゆえに自分が出来る事の限界を感じ
て袋小路に入ってしまった。その点この男はある意味世の中を達観しているような所があっ
て山南さんほど悲惨ではない。しかし、やはり同じく、死ぬ運命が待っており、彼の死に
よって、残された者が大切なモノを手に入れる、というドラマの構造は似ているのだった。
最後に、映画そのものの感想も少し。個人的には、自分がいるべき場所にいられない悲しみ
というのは経験あるだけに、主人公の真中瞳には共感できた。「ここにいてもいいんだ」と
思える時、人は心から幸せに浸れるのだろう。そう言えば山南さんも、自分の居場所にこだ
わっていたっけ。山南さんにとってのココはもちろん新選組。シンセングミニイルコトだっ
たのだな、というようなオチでとりあえずここは締めくくっておきたい。長文失礼。