【アカルイミライとオペレッタ狸御殿】オダジョー×2

現在、ヤフー動画で無料で観られる『アカルイミライ』。そして、DVDでついに借りてしまった『オペレッタ狸御殿』・・・この二つの、オダギリジョー主演(?)作品の感想を述べたい。


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さて、先ほど観たばかりの『アカルイミライ』であるが。。。はっきり言って、テーマが掴み辛かった。黒沢清作品というと、実は『回路』も『カリスマ』も『CURE』も同じ印象が残っている。どれもみな、精神世界を扱っていて、暗示表現、象徴的映像の連続、というイメージが強い。そして、何気ない場面に潜む恐怖を撮らせたら、この監督の右に出るものはいない気がする。しかし本作はどちらかと言うと、今どきの若者たちを描く青春群像ドラマであろうから、もっと判り易い展開を望んでしまったのだ。予告編で初めて観た時の衝撃は、それはそれは凄いものがあった。そのノリで劇場へもし観に行ってたら、きっと軽い虚脱感に襲われていたことだろう。これは、DVDやネット配信などで、独り密かに、何べんも見て共感を覚えるといった楽しみ方こそふさわしい、そういう類の小品なのではないか。

eiga.com ABOUT THE MOVIE アカルイミライ
《引用》
『「CURE」「カリスマ」など話題作が続く黒沢清監督の「回路」(00)以来2年振りの新作。TV「サトラレ」などで人気のオダギリジョー浅野忠信藤竜也の3人が初共演。工場で働く雄二が、唯一心を許せる存在は同僚の守だけ。しかし、守はある日、大切に育てていたクラゲを雄二に残して、突然、姿を消す。呆然とする雄二の前に、守の父親が現れ、雄二は彼とともに暮らすようになる。
監督・脚本・編集:黒沢清  出演:オダギリジョー浅野忠信、りょう、藤竜也
2002年日本映画/1時間55分  配給:アップリンク

浅野忠信が相変わらず、存在感のある演技でグイグイ前半は引っ張ってゆく。それゆえに、というのもあるのだろう、浅野が表舞台からリタイアする後半は、映画自体のテンションもどうしても落ちてしまったように感じた。浅野クンは『乱歩地獄』では、やや無理をして変人を演じようとするあまり、若干空回りだったような気もするが、本作では実に等身大の変人(w)をソツなく演じており、好感が持てた♪

オダギリ・ジョーも、素の演技に近い言動が、意外にハマッててグッジョブだった。とある陰惨なシーンを目撃してビビる姿は絶妙!ていうか、あのシーンは哀川翔の復讐シリーズ(「蛇の道」と「蜘蛛の瞳」)を撮った時の黒沢さんらしさが出ててワロタ・・・(いや、笑うシーンなどでは断じてないのだが・・・)。

浅野(マモル)がジョー(コウジ)に出した、とあるサインが元で、もっとコウジが人間的に変化するのかと思ったので、その後の淡々とした展開にはやや肩透かしなものを感じてしまった。まだまだ読み込みが足りないのかな?高いテンションのまま何かドでかい事件でも起こして、クラゲ大量発生と上手く結びつければ、また違った印象の作品にもなったろうなぁ~。→個人的なイメージとしては、この作品のコウジが、『スクラップ・ヘヴン』という作品でのオダジョーの役の人に、繋がっていくと面白いな、と思ったのだが。。。『スクラップ~』も必見です!未見の方、もうDVD出てますんで、ぜひご覧あれ♪

では続きまして、ある意味期待大!の個性的作品♪『オペレッタ狸御殿』の感想に、行ってみよう!
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コチラは『アカルイミライ』とは真逆で、予告編を観ただけで、バカ映画臭プンプン。ぜ~~~~ったい観るもんか!と堅く心に誓わせるに足る、見事な逆効果予告であった。
オペレッタ狸御殿 公式HP
いやぁ~、このテーマ曲を聴くだに、ホロッとしちゃうね~~~。人と狸の適わぬ恋ってか~?相当の偏見を持ってみたせいだろうか。前半の印象は「お?なかなか面白いやん♪」というものだった。

eiga.com ABOUT THE MOVIE オペレッタ狸御殿
《引用》
『1939年の「狸御殿」以来、何作も製作されてきた人間の姿をした狸たちが歌って踊るミュージカル映画=狸御殿シリーズに、「ツィゴイネルワイゼン」「ピストルオペラ」の鈴木清順監督が挑戦。がらさ城の城主は、世継ぎである息子・雨千代が自分の美しさを凌ぐと知り霊峰・快羅須山中に捨てようとするが、雨千代はこの陰謀を逃れて、唐の国から来た美しい狸姫と出会って恋に落ちる。故・美空ひばりのデジタル出演も話題。
監督:鈴木清順 脚本:浦沢義雄  撮影:前田米造
出演:オダギリジョーチャン・ツィイー薬師丸ひろ子
2005年日本映画/1時間51分  配給:日本ヘラルド映画
↑上記解説のミルクマン斉藤氏のコメントがゲキワロス。“見事に楽しくない”ってw

途中まで、けなげに日本語を操っていたチャン・ツィイーが、ある時点を切っ掛けに、居直ったように中国語に変わる!(「キル・ビル」のルーシー・リューか思たワw) いったいどういう理由をつけるのかと思いきや、なんと『心が通じたとき、聞きなれない異国の言葉も、理解できるようになるでしょう』と来たもんだ。アア、アフォな~~、と思って笑ってたらオダジョー演じる雨千代、「言葉が・・・言葉がわかるぞ!!」だって。吉本新喜劇ばりにドッテーーーーーン!て転げそうになったわw スゲエ力技!!感心したわ。シェイシェイ。オイラも『初恋のきた道』を愛する心があれば、あの作品でのツィイーたんの言葉が、理解できる様になるかもなぁ~~~???

さらに、じゃあなぜ、中国語を喋るのか?との問いに対しては、「わけあって、唐から呼び寄せたのじゃ~~そのわけは・・・・・知らない方がよいよ~~~♪」だって。パパイア鈴木にそんな風に歌で言い訳されたら、「ハ、ハァ、そうですね、スイマセン」って謝るしかなかろう!!なかなかよくかんがえておるわ。
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そして、安上がりの背景画をじーっと観ているうちに、何となく、NHK教育の子供番組を見ているような錯覚に陥っていった。コレ、NHKの5回連続ぐらいの続き物番組にしてくれてたら、飽きずに楽しめたかも知らんwオダジョーお兄さんと、ツィイーお姉さん、ぬいぐるみの極楽ガエルくんの面白トークあり、歌あり、お遊戯あり♪の楽しい子供番組になりそうだ。しかし、実際は、延々続く地獄ループ、いやいや、だんだん飽きてきたんよ、はっきり言って。早送り機能大活躍!(海岸での対決シーンあたりが退屈の極地w)ジョーと平幹二郎さんの対決をもっとじっくり撮っていたらそんなに飽きずに済んだろうに!!!ヒラミキさんは望んだけど、ジョーが断ったかな?ひょっとして(海岸での絡みw)。

で、結局、なぜにチャン・ツィイーはこの作品のオファーを受けたんだろうなぁ?もしかして『SAYURI』(メモリーオブゲイシャ)で日本女性の役をするにあたって、チョット仕草や着物の着付けの予行演習でもしとこかしらん?みたいな軽いノリで引き受けたんだったりしてwそして、その練習が功を奏して「SAYURI」の高評価に繋がったのだとすれば、このヘッポコ、もといポンポコ映画に出た意義も、あったというべきかもな?? 個人的には最後、実はお姫様は、タヌキに化けたキツネでした~!っていうオチを期待してしまったよ♪じゃって、どうみてもタヌキじゃなくてキツネ顔じゃん。それにしても薬師丸ひろ子とかパパイヤ鈴木はもろタヌキ顔だったなあ。