『ソナチネ』漣さん定点観測
■ストーリー:北嶋組幹部・村川は、組長から沖縄の友好団体・中松組が敵対する阿南組と抗争しているので助けてほしいとの命令を受けた。村川の存在が疎ましい幹部の高橋の差し金だったが、結局村川は弟分の片桐やケンらを連れて沖縄へ行く。沖縄では中松組幹部の上地や弟分の良二たちが出迎えてくれるが村川らが来たことでかえって相手を刺激してしまい、抗争はますます激化。ある者は殺され、ある者は逃げ出す。生き残った村川、片桐、ケン、上地、良二の五人は海の近くの廃家に身を隠した。ある夜、村川は砂浜で女を強姦した男を撃ち殺した。それを見て脅えもしない若い女・幸はいつのまにか村川と一緒にいるようになる。東京に連絡を入れても高橋がつかまらず、イラつく片桐をよそ目に、海辺でロシアンルーレットや花火や釣りに興じる村川。だが...(後略)
■スタッフ:/監督 北野武 /脚本 北野武 /製作 奥山和由 /プロデューサー 鍋島壽夫 森昌行 吉田多喜男 /撮影 柳島克己 /美術 佐々木修 /音楽 久石譲 /録音 堀内戦治 /照明 高屋齋 /編集 北野武 /監督補 天間敏広 /助監督 北浜雅弘 /スチール 斉藤里美
■キャスト:北野武(村川) 渡辺哲(上地) 勝村政信(良二) 寺島進(ケン) 国舞亜矢(幸) 南方英二(殺し屋) 逗子とんぼ(北島組組長) 矢島健一(高橋) 大杉漣(片桐)
■作品データ:/製作年 1993年 /製作国 日本 /配給 松竹 /上映時間 94分
→ 『ビートたけしが「北野武」名義で監督した4作目の日本映画である。1993年6月5日全国松竹系ほかで公開。第17回日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞。キャッチコピーは「凶暴な男、ここに眠る。/日本の国際映画祭「第10回東京フィルメックス」で北野自身は一番思い入れの深い作品に『ソナチネ』を挙げ、「自分の最後の作品にしようと思って、好きなもん撮ってやろうって作った作品と製作時は思っていた」と語っている。
前作『あの夏、いちばん静かな海。』に続き音楽家の久石譲が参加している。久石が担当したこの音楽ではミニマル・ミュージックの手法が全面的に押し出されている。また、録音したドラムのフレーズを逆回転させるなど様々な実験が取り入れられた。久石は自身が手掛けた北野映画の中で、本作の音楽がいちばん気に入っているという。ただ、本作が自分の中でうまくいきすぎたために、以降の北野映画を手がけるたびに「ソナチネ」のような音楽が合うのか毎回悩むことになったという。本作の宣伝ポスターやパッケージ、オープニングに映った槍に刺さっている青い魚は、「ナポレオンフィッシュ」という魚である。/製作当初は、「ダイ・ハード」のようなスペクタクルが予定されていた。しかし、北野の強い作家性から、次第にシャープな表現に寄り、プロデューサーの奥山和由がその志向性に同意したこともあって、結果的には非常に芸術性の強い本作が出来上がった。初期タイトルが「沖縄ピエロ」と題されていたことからわかるようにジャン・リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』の影響を強く受けている」/■考察:この作品は、1作目の『その男、凶暴につき』から現在に至るまで見られる、突然訪れる圧倒的な暴力シーンと、2作目の『3-4X10月』から始まる沖縄のシーンが見られ、プロデューサーの奥山が『その男、凶暴につき』の続編と位置付けていた事からも、初期北野作品の集大成としての要素を持つ作品である。/以後の「HANA-BI」にはメロドラマとしての要素が、また「BROTHER」にはエンターテインメントとしての要素が盛り込まれていることに比して、静謐で狂気的なムードが全編を支配する純正のバイオレンス映画として、北野映画に「バイオレンス」を追求するファンに高く評価されている。/■受賞歴:タオルミナ国際映画祭・「カリッディ金賞」コニャック国際映画祭・批評家賞 イギリス・BBC「21世紀に残したい映画100本」に選出(第67回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第4位、第15回ヨコハマ映画祭日本映画ベストテン第3位)』
→ 『大杉漣さんについて考えていたら、北野武監督の言葉を思い出しました。9年前、「これまで正解だと思ったキャスティングは」ときいたら、大杉さんの名前が挙がったんです。「ソナチネ」(1993年)の時、大杉さんの出番は最初のシーンで終わるはずだったが、北野監督は「この人いいな」と思って、沖縄ロケの後半まで出てもらうことになった。台本を書き換えたわけです。(後略)』
※登場シ-ンから。まだまだ垢抜けない漣さんである!
※とにかく表情が終始堅い!堅物の役そのまんまである。
→ 『なぜ、たった一瞬で北野監督は大杉さんを選んだのか?言葉によるやりとりも、挨拶さえも交わしていなかったと大杉さんは振り返っていましたが、ではいったい何が、「判断材料」となったのでしょうか?「2、3秒」という点に、深い意味があると私は思います。たった2、3秒、見ただけで判断できるものとは?/それは、人のたたずまい。大杉さんのたたずまいは、凜としてムダなものが削がれ、まるでギリシャ彫刻のよう。みだりに感情を出さず安易に体も動かさない。横顔には緊張感が漂っている。(中略)
転形劇場の独特なメソッドについて、大杉さんは語っています。「3カ月くらい稽古をするのですが、初めはセリフがあり、だんだん言葉を削いでいって、2カ月目では自分が話したい言葉だけを残し、最後はセリフをすべてなくすという、3段階の練習をしました」(「zakzak」2014.1.24)/超スローで無言なのに深い意味が伝わってくる不思議で豊かな世界。大杉漣という人の中に、しっかりとその希有な舞台経験が結晶していったのでしょう。こうして練り上げられた、静謐なたたずまい。彫刻的な美しさ、研ぎ澄まされた身体の深い美を、北野監督は「2、3秒」で見抜いたのです。大杉さんも凄いけれど、隠された深い美を一瞬にして見てとった北野監督の感知力もまた凄い。浅草芸人として地を這いながら磨き上げてきた野性的な勘が、大杉さんの持つ美を一瞬にして察知した、幸せな出会い。それが、「2、3秒」に起こったことの意味でしょう。』
※渋い顔ばかりしていた片桐(役名)だけに、こういった笑顔のシーンが際立つ!
※エレベーター内乱射戦の途中で倒れる漣さん・・・。死ぬシーンはアカンわ。
しばらくはご法度にせんと。。。
『過去の自慢話しかしない大人が多いじゃないですか。今、何をやるか。これから何をやれるか。それしか素敵じゃないでしょ。』 |
出展:? |
発言者:桃井かおり (女優。1951年4月8日~) |
→ 『解説:桃井は、ATG映画(「あらかじめ失われた恋人たちよ」で衝撃的なヒロインを演じて以来、独特の倦怠感のある演技と、話し方で一貫している。しかしこの言葉が示すように、円熟味が増し、ますます輝きを放っているのが桃井の凄みだ。過去の話はやめよう。未来を面白がろう。ちなみに桃井は64歳で結婚(初婚!)した。)』
(『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ』より)
→ 『「ジャンゴォ~、ドポイドローレ、ペラ、ダースペーランサ~」と「続・荒野の用心棒」の主題歌をイタリア語(っぽく)歌いながらレイトショーに滑り込む。シートに座り、いつもの呪文を唱える。なにがあっても怒らないぞ、なにを観ても怒らないぞ、俺は優しい人なんだ・・・。「荒野の用心棒」を思わせる吊るし首。最初のシーンがこれだから、次々にマカロニのいただきが飛び出すのかと思いきや、マイトの使い方もウェスタンというよりキーハンターか仮面ライダー。画面が狭く感じるアクションシーンになった。(中略)
タラちゃんの影響モロ出しで、キャラを作るのは上手な日本人が、エンタ性ではいま一歩なのよねと改めて思った次第。例えて言えば、カップラーメンに入ったかやくやら、ふりかけやらはしっかり入ってても、スープの分量が半分足りない、みたいな。つまり美味しくない。でも。桃井かおりが大好きです。「前略おふくろ様」の「うみちゃん」の頃から。ここでは伝説の「BB」血まみれ弁天、とな。立ちション姿は81年の「ええじゃないか」以来で懐かしかったです。/タイトルについて、どれほど思い入れがあるのかを語ろう。ちなみに僕の使っているアンプとスピーカーはNECの「DianGo」 80年頃のシステムコンポでプレーヤーもチューナーも健在だけど、2デッキのカセットだけは、ガキンチョがまだ床を這い回る両生類に近い頃、玉子やら糊やら入れてくれて、とうとう壊れたので捨てた。実はそのガキンチョは、ホントは「ジャンゴ」と名づけたかった。 「続・荒野の用心棒」のフランコ・ネロは僕の血肉になっているのだから、ガキンチョの名前は「ジャンゴ」だと密かに決めていた。ずいぶんあとでそのことを告白したとき相方に言われた。なにをぐずぐず悩んでるのかと思ってたらそんなことを考えてたのか、と。そしてものすごく怒られた。なぜなら、ここでは書けないが、非常に似た響きの名前になっているからだ・・・。はっはっはー、である。』
※クレームがついて放送中止になったCMだそう。ま、クレームつける
ような輩が〇〇なんでしょうけどねぇーー。
→ 『物語の終盤、ある重要な役で登場するのが、日本人女優の桃井かおり。彼女は全編英語でセリフを話しているのだが、今回の吹替版では彼女のセリフは日本語に吹替えられている。もちろん、本人による日本語吹替では無いのだが、実はこの吹替声優の方の「桃井かおり再現力」がハンパ無く高いのだ!清水ミチコや椿鬼奴の様なオーバーな物では無いが、語尾や喋り方などを桃井かおりチックに演じていて、ここだけ見ても今回の吹替版のクオリティの高さと、製作陣のこだわりが判って頂けるはずだ。』
☆本日の、『日めくり漱石』は・・・
※ナンノコトニャ?